2 years ago • 216 notes最近読んでいる良書紹介、その1.
ウィリアム・H・マクニール「世界史」(中公文庫)
世界史を文庫本たった2冊、約800ページほどで綴ってしまったある意味驚異の書。しかも教科書的な事実の羅列はほとんどなく、著者の歴史観を前面に出しつつ、人類がどのような道筋を「なぜ」辿ってきたのかを実に明確に説く。あまたある世界史概説書の中では断トツの1位ではないか。
とくに、宗教が文明や国家形成に及ぼした影響と、技術革新(とくに軍事技術)が果たした役割が非常によくわかる。たとえば、インドにおける「カースト」が輪廻転生の思想を生み、それが仏経とヒンズー教に分かれていった…という上巻序盤の記述は、目から鱗そのものだった。
著者の基本的な視座は「なぜ15世紀ごろから西欧文明が全世界を席巻するに至ったか」という点に集約される。これは現在のグローバリズムを指しているのではなく、歴史の必然としてそうなったのだということが語られる。日本の現在の反映などにも言及がある。
お勉強ではなく、世界史のしっかりとした理解を得たい人には、本書は絶対のお薦めだ。